9号29番
問
人生の目的を達成するに、最も大切な正行・雑行の分別を分かりやすく教えられたお言葉を、『御文章一帖目一通』で示せ。
答
◯「うれしさを昔はそでにつつみけり、こよいは身にも余りぬるかな」。「嬉しさを昔は袖に包む」といえる意は、昔は雑行・正行の分別もなく、「念仏だにも申せば往生する」とばかり思いつるこころなり。「今宵は身にも余る」といえるは、正雑の分別を聞きわけ、一心一向になりて信心決定の上に、仏恩報尽の為に念仏申すこころは、おおきに各別なり。かるがゆえに、身の置きどころもなく、躍り上るほどに思うあいだ、よろこびは身にも嬉しさが余りぬると言えるこころなり。